障子の張り替えをしたいのですが、うちの障子はアルミ製なんです。
素人でも張替えできますか?
大丈夫です。普通の障子よりすこし手間がかかりますが張替えできます。
障子というと木製のものが一般的ですが、アルミで作られているものもあります。
アルミ製障子は、長年使用しても変形しにくく、建付けの調整がカンタン、見た目の変色や劣化に強い、などの理由で、採用している住宅メーカー様も増えています。
しかし、アルミ障子は、枠を分解しないと張りづらいため張替えに手間がかかります。
この記事では、
について詳しく解説します。
DIYで障子張りをしたい方はぜひご参考ください。
アルミ製障子の張り替え
1.障子の上部または下部を外し、組子を引き抜く
アルミ製障子は、建具の枠に中に組子(中の格子部分)を差し込んで組み立てています。
障子紙の張替えは、障子の枠の上部、または下部を取り外して、組子を引き出して行います。
枠の下部を外すタイプの事例をご紹介します。
障子の下側に、高さを調整するネジが付いていますので、目一杯緩めます。
高さ調整の部品は一体となっていますのでまとめて外します。
高さ調整のネジを固定していた板です。
この板を横にずらすと、後ろに下枠を固定しているネジがあります。
下の枠を固定しているネジが斜めに入っていますので緩めます。かなりきつくしまっているので、電動ドライバーなどの使用をおすすめします。
下部の枠を引き抜きます。
下部の枠を外すと、組子を引き抜くことができます。
製造メーカーの解説ページ
枠の上下どちらを外すかはメーカーにより異なります。
主要メーカーのYKK APは枠の上部、LIXILは下部を外します。
YKK AP(枠の上部を外すタイプ) 障子紙を張り替える
LIXIL (枠の下部を外すタイプ)室内建具の和障子の紙を張り替える方法
アルミ障子を販売しているメーカー様は複数ありますが、上記2社の製品と同一または似ている製品もあります。まずは上記の解説ページをご参照ください。
障子に製造メーカーのステッカーが貼られていることもあります。確認してみましょう。
取り外しの前に写真を撮る、印を付ける
アルミ障子の上部または下部を取り外すときは、いくつかのポイントを押さえておくと安心です。
まず、取り外す前に現在の状態を写真で記録しておくのがオススメです。これがあると、後で部品を元の通りに取り付けるときにとても助かります。写真を撮るときは、部品の表と裏(部屋側か外側)や上下がはっきりわかるようにしておくといいですよ。
次に、部品にテープなどで印をつけておきましょう。例えば、取り外した部品の部屋側には「部屋側」、外側には「外側」と書いておくと、取り付けるときに迷わずに済みます。また、上下がわかるように「上」や「下」といった印もつけておくと安心です。
これらの準備をしておくことで、取り付けるときに部品の向きや位置で悩むことがなくなります。
2.霧吹きや刷毛で組子を濡らし、障子紙をはがす
障子紙を取り外すには、まず霧吹きや刷毛を使って組子(障子の木枠)濡らします。
少し時間をおいて、障子紙がしっかり湿ってから、ゆっくりと剥がします。
注意点として、ヘラなどで強くこするのは避けてください。
強くこすりすぎると、組子に傷がついたり、塗料が剥がれる恐れがあります。優しく丁寧に作業を進めることが大切です。
3.障子張りの手順
組子を水平に寝かせます。障子紙を貼るために糊を均一に塗ります。
作業が一人の場合は、障子紙を丸めて端から少しずつ貼っていくとスムーズです。
二人の場合は、それぞれ両端を持って一度に貼り付けます。
貼る際は、紙を内側から外側になでるようにして空気を抜きながら貼り付けます。
糊が乾くまで陰干しにして、完全に乾燥させます。
乾いたら、霧吹きを使って紙を軽く濡らします。
紙が水分を吸って一時的に伸び、その後再び乾燥することで、余分なたるみがなくなり、ピンと張った仕上がりになります。
組子の素材の確認と使用する糊の種類
使用する糊は、組子(中の格子)の素材によって使い分けが必要です。
アルミ製障子の組子は主に以下の素材で作られています。
- 木製
- アルミ素材に樹脂を巻き付けてある
- アルミ素材に茶色い塗料が塗ってある
それぞれの注意点や、使用する糊について解説します。
組子が木製のタイプ
組子が木製の場合は、ホームセンターで販売されている障子用の糊をお使いください。
この糊は天然のでんぷん製で、乾燥後も水で濡らすと再び溶けます。
そのため、次回の張替え時に障子紙を簡単に剥がすことができます。作業が楽で木材を傷めにくいです。
組子に樹脂が巻いてあるタイプ
組子に化粧の樹脂が巻いてあるものです。(枠と同じ色柄)
このタイプは、木製の障子と同じ障子用の糊を使って張れます。
ですが、結露し易い場所や湿度の高い環境では、糊が剥がれてしまうことがあります。
心配な場合は、壁紙用接着剤の強力タイプを使用しましょう
アサヒペンの「カベ紙用のり 強力タイプ」は、ホームセンターで手軽に購入できるためオススメです。
でんぷん糊の他に樹脂成分が入っていますので、接着力が強いです。
湿度の高い環境や結露しやすい窓の場合は、次にご紹介するシーラーの使用やボンドを混ぜる方法もおすすめです。
アルミに茶色い塗料(下地処理剤)が塗ってあるタイプ
組子に茶色い塗料が塗ってある場合は、取り扱いに注意が必要です。
この塗料は、糊がしっかりと張り付くように下地として塗られています。しかし、古い障子紙を剥がす際に、塗料も一緒に剥がれてしまうことがあります。
また、障子紙を剥がすときに知らずにヘラなどで塗料を削り落としてしまうこともあるかと思います。
そのような場合、通常の障子用糊では接着が弱く、後で紙が剥がれてしまう可能性がありますので、シーラー(下処理用接着剤)を使用することをおすすめします。
シーラーは、接着が難しい金属面やビニール面にも対応できる下塗り剤です。例えば、ヤヨイ化学の「プラゾールSS」がおすすめです。組子に塗布し、乾燥させた後に障子用糊で貼ると、しっかりと接着できます。
- 組子の茶色い塗料が残っている場合:障子用の糊を使う
- 組子の茶色い塗料が剥がれてしまった場合:シーラー(下処理剤)を組子に塗る。乾いたら障子用の糊で張る
お手軽に「木工用ボンド」を使用する方法
シーラーですか?初めて聞くものでよくわからないですし、お店に売ってないみたいです。
アルミの格子の糊対策として、内装用のボンドを障子の糊に混ぜる方法もあります。
シーラーは、建設業に従事していない方にはあまり馴染みがなく、ホームセンターでも取り扱いがない場合があります。
低価格でお手軽な対策として、内装用(木工用)ボンドを障子用の糊に混ぜる方法があります。
しかし、この方法には注意が必要です。糊とボンドの配合比を誤ると、接着力が強くなりすぎてしまいます。ボンドが多すぎると、次回の張り替え時に糊が固着し、カッターなどで削り取らなければならなくなります。
定期的に障子を張り替える場合には、ボンドの量を少なめにすることをおすすめします。
目安として、糊とボンドを8:2または、7:3の割合でも十分な接着力が得られ、張り替え時の手間も軽減できます。
アルミ障子の枠を分解しないで張る場合
いちいち分解しないといけないの?面倒ですね
少し難しいですが、枠を外さなくても張れます。
アルミ製障子は枠を外して組子を取り出したほうが張りやすいですが、その作業が面倒、枚数が多いと大変、と思われる方もいらっしゃるかと思います。
そのまま張ることもできますが、以下の理由で難しくなります。
- 外枠と中の格子の段差が大きいため、貼り付けが難しい
- 中の格子ののりしろが細いため、紙を切るのが難しい
でも、コツを掴めばきれいに張れます。そのポイントについて解説します
- 障子紙を剥がす前に切込みを入れる: 組子を外さない場合、障子紙が外枠の中に入り込んでいますので、そのままでは剥がしづらいです。
障子紙を濡らす前に、あらかじめ外枠に沿って、障子紙に軽く切込みを入れておきます。これにより、古い障子紙が剥がしやすくなります。
- 貼るときに角ヘラなどで折り目を付ける: 組子と外枠の段差が大きいため、障子紙の際が浮いてしまい張りづらいです。浮いている角を角ヘラなどでなぞって押さえつけましょう。折り目をしっかり付けることで剥がれにくくなります。
- ふすまカット用の板で内側から押さえて切る: 障子紙をカットする際には、ふすまカット用のステンレス板や地ベラなどを内側から押さえて作業を行います。これにより、紙をきれいに切ることができ、仕上がりがきれいになります。
この手順で、アルミ製障子の貼り替え作業を効率よく進められるでしょう。試してみてください。
おわりに
アルミ製障子の張替えは、初めての方には少し難しいかもしれませんが、正しい手順とコツを押さえれば、きれいに仕上げることができます。
組子を外してからの作業は比較的シンプルで、糊の塗り方や障子紙の貼り方に注意することで、長持ちするきれいな障子が完成します。
記事をご覧いただき、ありがとうございました (^^)
障子の張替えでお困りの方、ご相談ください。
障子の張り替えは一見簡単に見えますが、実際にやってみると手間がかかるものです。特に、初めて挑戦する方や多くの枚数を一度に張り替える場合は、かなりの労力が必要です。
もしご自身での張替えが難しいと感じた場合は、ぜひ当店にご相談ください。
埼玉県で創業100年以上の歴史を持つ河田製畳では、プロの技術と経験で、あなたの和室を美しく蘇らせます。ご連絡はお電話またはホームページからお気軽にお問い合わせください。
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