和室や畳に虫が発生してしまうと、驚くと同時に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
畳の隙間や押入れの中に潜む小さな虫たちは、湿気やカビ、ホコリなどが原因で繁殖することがあり、放っておくと大量発生する可能性もあります。
しかし、適切な対策を取れば、虫の発生を防ぎ、再び快適な和室環境を取り戻すことができます。
本記事では、虫の発生原因や防虫方法、畳替えによる改善策について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
和室に発生する虫について
畳に虫が湧くというイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には和室に発生する虫は、畳の中から発生するわけではありません。多くの場合、虫は屋外や床下などから侵入し、室内で繁殖します。
現在の畳床は、木質繊維に断熱材を混入したボードや、ポリスチレンなどの建材で作られています。虫の発生源にはなりにくい構造です。
また、わらを使用した畳床も製造時に加熱殺菌処理を施しており、新品の状態で内部から虫が湧いて出ることはありません。
したがって、虫の発生は畳そのものの問題ではなく、家屋の環境や外部からの侵入が主な原因です。
外からの侵入を完全に防ぐことはできませんので、室内で繁殖させない対策が必要です。
かつての殺虫剤などのCMで、『ダニの発生 = 畳 』というイメージをお持ちの方も多いと思います。
ですが、ダニは、カーペット、ソファ、寝具類、ぬいぐるみ、クッションなど、様々な場所で繁殖します。
虫が繁殖する室内環境と原因
虫が室内で繁殖しやすくなる原因はいくつか考えられます。特に以下のような環境が虫にとって住みやすい状態を作り出します。
- 部屋の湿度が高く、風通しが悪い
- 床下の通気が悪い
- 畳や床に隙間が多い
- 畳や押し入れ、家具の裏などにカビが発生している
- 食べこぼしやペットの毛が溜まっている
- カーペットや布団を敷きっぱなしにしている
こうした状況が続くと、虫が隠れやすくなり、エサとなるカビや食べ物の残りかすが増えるため、繁殖のリスクが高まります。
1.虫にとって隠れやすい場所がある 2.虫の餌となるカビや他の害虫がいる 3.部屋が虫にとって過ごしやすい湿度や気温になっている この3つのポイントを予防することが重要です。
和室に発生する虫の種類
和室に発生する虫
和室でよく発見される虫をご紹介します。
大抵の虫は人体に直接被害を及ぼすものではないですが、人を刺す害虫や大量発生によるアレルギーの被害には注意が必要です。
ダニ類
- チリダニ ホコリやカビをエサとします。カーペットや布団、ソファなど、湿度の高い場所に繁殖しやすいです。アレルギーの原因となることが多いです。
- ツメダニ チリダニなど他のダニを捕食する捕食性のダニです。人間を刺すこともあり、刺されると赤い斑点やかゆみを引き起こします。湿気の多い環境に多く見られます。
- イエダニ 主にネズミに寄生しますが、ネズミがいなくなると人間に吸血することがあります。刺されると強いかゆみや皮膚炎を引き起こします。
チャタテムシ
体長は1~1.3mmで、褐色の小さな虫です。肉眼では白っぽい小さな点のように見えます。
主に貯蔵食品や畳に被害を与え、特にカビを好むため、湿気が多い夏季に大量発生することが多いです。
シバンムシ
乾燥した植物や、食品、建材、畳などに被害を与える害虫です。体長は2.5~3.5mmで、褐色の小さな虫です。
カツオブシムシ
体長8mmほどの褐色の幼虫が衣類などに穴をあけます。
畳の隙間、タンス、毛の長いカーペットの中などに発生します。
シミ類
古い本や紙類、布製品を食害する害虫です。体長は10mm以下。銀色で原始的な形が特徴です。
写真で確認したい方は、「日本健康住宅協会」様の検索システムの利用が便利です。
日本健康住宅協会 快答 むしわか丸(害虫検索システム)
ダニ類などの虫の死骸、フンによる健康被害にも注意
ダニ類などの虫の死骸やフンは、アレルギーや呼吸器系のトラブルを引き起こすことがあります。ぜんそくやアレルギー性鼻炎、皮膚炎の原因となることが多いため、注意が必要です。定期的な掃除や換気を心がけ、清潔な環境を保つことで、こうした健康被害を予防しましょう。
畳に穴が空いていたらシロアリ被害の可能性も
畳に小さい穴が空いている場合、シロアリ被害の可能性があります。シロアリは床下、地面の土の中から家屋に侵入し、木材や畳の内部を食害しながら進行します。
もし畳に小さな穴や異常を発見した場合は、早めの点検や対策が必要です。
畳を剥がした際にシロアリ被害が発見されることは少なくありません。
定期的な畳替えを行うことで、畳だけでなく家屋全体の状態をチェックする機会にもなります。
ムカデなどの大きな虫は、床板や畳の隙間が原因
ムカデやゲジなどの大きな虫が和室に出た場合は、床板の隙間から侵入し、畳の間から出てきた可能性があります。このような場合は、畳替え工事で縮んだ畳の修正や、床板の張替え工事、防虫紙を敷き詰めて隙間をカバーするなどの対策が必要です。
また、ゲジなどは小さな虫を捕食しますので、カビやダニの発生を防ぐことも重要です。
床板に隙間があるのは、欠陥や手抜き工事ではありません。古くからの日本家屋は、湿度の高い気候に適応するため、通気性を良くし風通しを確保する工夫が施されていました。
和室の防虫対策(ご家族でできる範囲)
和室での虫の発生を防ぐためには、定期的な掃除や換気を心がけ、虫が繁殖しにくい環境を整えることが大切です。
1. 室内の湿度管理と換気
湿度が高いとカビが発生しやすくなり、そのカビをエサとする虫も増えてしまいます。
特に新しい畳表はカビが発生しやすく、梅雨時期や湿気が多い季節には、チャタテムシなどの発生の原因になります。
晴れた日は窓を開けて風通し、雨の日は窓を締めて除湿機やエアコンで湿度を下げましょう。
2. 防虫グッズを活用する
畳用や押し入れ用の防虫紙を使うことで、虫の侵入や繁殖を抑えることができます。定期的に防虫紙を交換することで、長期間にわたって効果を維持できます。
最近では、ダニを捕獲する商品など様々な防虫用品が販売されています。積極的に活用しましょう。
3. 敷物の使い方に注意
カーペットや敷物は虫が隠れやすい場所です。敷物を使用する際は、定期的に掃除を行いましょう。
裏側もカビの発生や虫の住処になりますので、しっかりと乾燥・掃除をしましょう。
また、布団を敷きっぱなしにしないようにし、毎日上げて空気を入れることで、虫の繁殖を防ぐことができます。
4. こまめな掃除
定期的な掃除は虫の発生を抑える最も効果的な方法です。掃除機をかける際は、畳の目に沿って丁寧に行い、食べこぼしやダニのエサになるものをしっかりと除去しましょう。
5. 床下の通気を確保
床下の通気が悪いと湿気が溜まりやすく、害虫の繁殖やシロアリ被害のリスクが高まります。
特に家屋の周囲が密集した住宅地の場合や、山林に囲まれている場合は、床下換気扇の設置なども検討しましょう。通気口の風通しを改善することが大切です。
6.押入れのカビ対策
和室の押入れは湿気がこもりやすく、カビが発生しやすい場所の一つです。特に、換気が不十分な押入れでは湿気がたまりやすく、衣類や布団にカビが生えることがあります。
そこで、すのこを押入れの床や壁に設置することで、通気性を向上させ、カビの発生を防ぐ効果があります。
すのこは湿気を逃がしやすくするので、湿度が高くなりがちな季節や長期間収納するアイテムの保管にもおすすめです。押入れ内の湿度管理とともに、防虫シートの併用でカビと虫の両方をしっかり防ぎましょう。
工事業者さんに依頼する防虫対策
床板の張替え、断熱・密閉施工
床下からの虫の侵入を防ぐためには、畳の下にある床板の状態が非常に重要です。
古い建物や伝統的な在来工法で作られた和室では、通気性を確保するために床板に隙間を開けています。その隙間があると、床下から虫が部屋に侵入しやすくなります。
床板を隙間なく張り替えることで、虫の侵入を大幅に抑えることができます。また、床板の張替え時に断熱材を併せて敷くことで、湿気対策にもなり、快適な環境を保つことができます。
床下換気扇の設置
湿気がこもる床下は、カビが発生しやすく害虫やシロアリが好む環境です。
そのため、床下の湿気を排除し、風通しを良くすることが非常に大切です。そこで有効なのが、床下換気扇の設置です。
床下換気扇を設置することで、空気の流れを作り出し、湿気を減らすことができます。湿気が少なくなると、シロアリやカビ、他の害虫の発生も抑えられるため、長期的な防虫対策となります。
畳替えでできる防虫対策
定期的な畳替えで、和室の虫の発生を最小限に抑えることができます。
防カビ・防虫効果の高い素材の畳に変える
畳替えは、防虫対策にも効果的な手段です。特に、カビの生えにくい素材の畳に交換することで、虫のエサとなるカビの発生を抑えることができます。
例えば、和紙表や樹脂表などの耐湿性や防水性に優れた素材の畳は、湿気がこもりやすい和室にも適しており、メンテナンスがしやすいのも魅力です。
質感・触り心地は天然のものより劣りますが、防虫対策を重視される方にオススメです。
畳用の防カビ・防虫紙を施工する
畳替えの際に防虫紙を畳の中や畳下に敷くこともおすすめです。
天然成分(ホウ酸塩)を使用した人体に優しい防虫紙もあり、化学薬品に頼らずに安全に虫の侵入を防ぐことができます。
ホウ酸塩は防虫だけでなく、カビや木材を腐食する菌の予防にも効果があります。
経年による畳の縮み、隙間を修正する
畳は長年使用すると縮んで隙間ができてしまいます。この隙間にホコリが溜まったり、虫の住処になったりします。
畳を入れ替えるとピッタリ隙間なく収まります。畳の表のみの張替えの場合でも畳床の変形や縮みを補修します。
おわりに
和室や畳の防虫対策について、虫が発生する原因や具体的な予防策、シロアリなどの害虫のリスクについてご紹介しました。
快適で清潔な住環境を維持するためには、定期的な掃除や換気、畳替えといったメンテナンスが非常に重要です。
当店では、カビの生えにくい畳や防虫紙の使用など、虫対策に適した畳替えのご提案も行っています。和室のリフォームや防虫対策について、ぜひお気軽にご相談ください。
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関連リンク・参考になるサイト
NPO法人 日本健康住宅協会
健康的で快適な住まいづくりのための研究、人材育成を行っている団体です。
害虫対策だけでなく、シックハウス、ヒートショック対策など、住まいについて様々な情報発信をしています。
日本健康住宅協会ホームページ
快答 むしわか丸(害虫検索システム)
健康畳店会
健康畳店会は「健康」をテーマに畳を取り巻く環境に、深い関心のある全国各地の畳店が加盟している団体です。当店も加盟店です。
防虫対策の畳替えをご検討の方は、お近くの加盟店を探してみてください。
当店ブログ記事
この記事の他に、住まいのカビ予防などの情報発信をしています。
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