畳の裏返しとは? 方法と時期・タイミングについて

畳のあれこれ

畳はその美しさと機能性を保つためには定期的なメンテナンスが必要です。

畳替えの施工法の一つに「裏返し」があります。既存の畳表を剥がし裏側を使用することで、費用を抑えて施工できます。今回は、畳の裏返しについて詳しく解説します。

たたみの河田スタッフ

創業100年の畳店、㈱河田製畳のスタッフたち。長年建設業に従事。健康畳店会加盟店。
二級建築士。インテリアコーディネーター。健康住宅アドバイザー。
和室や室内のリフォームを通じて、快適な住まいづくりをご提案しています

畳の構造と裏返しのやり方

畳の構造

まずはじめに、簡単に畳の構造について簡単にご説明します。

畳は主に以下の3つの部分で構成されています。

  1. 畳表(たたみおもて):畳の表面部分のゴザのことです。主に天然イ草ですが、最近は和紙・樹脂製もあります。
  2. 畳床(たたみどこ):畳の芯材です。主に、わら床や、木質ボードと断熱材を組み合わせた「建材床」が使われています。
  3. 畳縁(たたみべり):畳の縁部分で、デザイン性と補強の役割を果たします。
しぶや
しぶや

畳は、畳床に畳表と畳縁を縫い付けて制作します。

裏返しとは?

裏返しのイメージ 剥がして裏側を使用

「裏返し」とは、使用中の畳表を一度取り外し、裏面を表側として再利用するメンテナンス方法です。この際、畳床はそのまま使用し、畳縁は新しいものに交換します。

畳表の裏側は、日に当たらず、擦り切れなどもありません。そのため短いサイクルで裏返しをすることで、費用を抑えてきれいになります。

畳の裏返しは自分でできる?

畳の裏返しというと、「畳本体をひっくり返せばいいのでは?」と思われがちですが、実際の作業はもっと複雑です。畳本体をそのまま使いながら、畳表(たたみおもて)を一度剥がし、裏側を表にして再び縫い付ける作業のことを指します。

かわた
かわた

畳本体をそのままひっくり返すものと勘違いされるお客様も多いです。

この縫い付け作業には専用の機械が必要で、手作業で行う場合でも熟練の技術と専用の道具が求められます。

また、新品の畳縁(たたみべり)や畳下紙も必要になるため、一般の方が自分で行うのは難しいです。

そのため、畳の裏返しは畳屋さんに依頼するのが最適です。

裏返しのメリット

畳替えの費用を抑えられる

畳の裏返しは、畳表を新しくする「表替え」や畳そのものを交換する「新調」に比べて費用が抑えられるのが大きなメリットです。

新しい畳表を購入する必要がなく、既存の畳表を裏返して再利用するため、コストを最小限に抑えつつ、畳の美しさを取り戻すことができます。

床・畳の隙間を掃除できるので、カビ・ダニの被害を抑えられる

畳を裏返す際には、畳を一度引き上げますので、普段掃除しづらい床板や畳の隙間の汚れを取り除くことができます。

畳の下にはホコリや湿気がたまりやすく、放置するとカビやダニが発生する原因になります。裏返しのタイミングでしっかり掃除をすることで、清潔な環境を保ち、カビ・ダニによる健康被害を防ぐことができます。

きれいで快適な和室を保てる

日焼けや汚れが目立つようになった畳表を裏返すことで、見た目がきれいになり、和室の雰囲気も明るくなります。

擦り切れてイ草のカスが出るなどの症状も防げますので、いつでも快適な和室で過ごすことができます。

床板・住まいの状況を点検できる(シロアリ被害・湿気による劣化など)

畳を剥がすことで、普段は見えない床板や畳床の状態を確認できます。

シロアリの食害や湿気による腐食が進んでいないかチェックすることで、早めに対策を講じることが可能になります。

特に湿気の多い地域や古い住宅では、裏返しの際に住まいの健康状態を確認する良い機会になります。

裏返しの適切なタイミング

裏返しの最適な時期・目安

多くの畳店は畳を新調してから約3~5年後が裏返しの目安としています。

当店では畳表の耐久性と色味を考え、5〜7年以内を推奨しています。

裏返しの時期が早いほど、裏面はきれいな状態を保てます。

しかし、高品質な畳表であれば耐久性が高く、通常の使用であれば5年以上は十分に表面を使用できます。(ただし、低価格帯や激安の畳表はこの限りではありません。)

まだ活用できるものを裏返すのはもったいないため、畳の耐久性を最大限活かせるタイミングを選ぶことが大切です。

裏返しの時期・タイミングの理由について

なぜ畳店は、裏返しの一定の時期を推奨しているのでしょうか?

畳の裏返しは、畳表が破れていなければ、物理的にはいつでも可能です。

でも、適切な時期を逃してしまうと期待した効果が得られなくなります。特に、長年使用した畳表の裏面は見た目や質感が劣化し、裏返しをしても美しさを取り戻せない場合があります。

時期の理由① 長年使用すると裏側の色味も悪くなる

例えば、下の写真をご覧ください。これは13年間使用した畳表の表面と裏側の比較です。

表面は日焼けや摩耗で色褪せていますが、裏側は比較的濃い色を保っているように見えます。

しかし、新しい畳表と並べて比べるとどうでしょうか。
以下の写真をご覧ください

⇓⇓⇓⇓

新品と比べると、裏面も色味が悪くなっているのが分かります。

畳表の裏面がきれいな状態を保てるのは、使用開始から5年前後が目安です。5年ほどであれば、青みの色合いが残っているため、裏返しをすることで部屋の雰囲気を一新できます。

しかし、時間が経つにつれ、畳表の裏側の色味も徐々に劣化し、せっかく裏返しをしてもあまり良い見た目にならないことが多いのです。

ふじの
ふじの

10年以上経過した裏側でも、表面よりは濃い色味になりますので、「良くなった」と喜ばれるお客様もいらっしゃいます。

しかし、「思っていたほど鮮やかな色ではなかった」と残念に感じるお客様もいらっしゃいます。

こうしたギャップを防ぐために、我々畳職人が最適と思う時期を推奨しています。

時期の理由② 長期間使用した畳表は、耐久性が弱くなる

畳表は長年使用すると、表面のイ草が擦り減ったり、経年劣化によって弱くなっていきます。その状態で裏返しをしても、施工の際にイ草が切れてしまったり、短期間で破れてしまったりすることがあります。

せっかくお金をかけて裏返しをしても、すぐに新しいものに交換しなければならない状態になってしまいます。

そのため、長年使用した畳表は無理に裏返しをせず、そのまま使い続けるのが賢明です。

擦り切れが目立ってきたり、イ草のカスが服につくなどの症状が出てきたら、新しい畳表に交換するタイミングです。

畳表の特性と、お客様のご希望を考慮した、裏返しの時期・タイミング

かわた
かわた

これまでご説明した内容と、お客様が重視するご要望を考慮した、当店のおすすめの「裏返しの時期・タイミング」です。

1. 裏返しで新品のような青畳にしたい場合(3~5年以内)

新品と同様の美しい青畳を楽しみたい場合は、3~5年以内の裏返しがおすすめです。

この時期であれば、畳表の裏側はほぼ変色しておらず、見た目も新品に近い状態になります。青畳の美しさを優先したい方に最適なタイミングです。

2. 色味は多少劣化しても、コスパよく長く使いたい場合(5~7年)

できるだけ長く使い、コストを抑えたい方は、5~7年以内の裏返しが適しています。この時期になると、裏側の色味は多少落ち着いてきますが、きれいになったと実感できます。畳の耐久性を活かして実用性を重視する方におすすめです。

3. 低価格帯の畳表をご使用の方は、裏返しをせず新品に交換を

低価格帯や激安の畳表を使用している場合は、裏返しをせず、新品の畳表に交換するのが賢明です。

理由は以下のとおりです。

  • 安価な畳表は裏面の変色が早く、裏返しても見た目が良くならない場合が多い
  • イ草の耐久性が低く、長期的な使用に適さない
  • 裏返しの工賃に少し追加するだけで、新しい低価格帯の畳表を購入できる

裏返しが適さない場合

以下の場合、裏返しではなく、畳表を新品にする「表替え」や、すべて「新調」を検討する必要があります。

  • 畳表の損傷が激しい場合:深い傷や破れがあると、裏返しはできません。
  • 大きなシミがある場合:表面に濃く大きなしみがある場合、裏側もシミになっている可能性が高いので表替えをおすすめします。
  • 縁なし畳(琉球畳など)の場合:琉球畳は施工時に畳表を折り曲げているため、裏返しをすると逆に再び折り曲げることになり、耐久性が低下します。その結果、イ草が切れたり、折り目が目立ち、見た目が悪くなります。
  • 特殊な形状の畳:柱の切り欠き、斜め切りの箇所などがある畳は、裏返すと形状が合わなくなります。

おわりに

まとめです。

  • 畳の裏返しは適切な時期が重要
    • 早すぎると、まだ使える表面を無駄にしてしまう
    • 遅すぎると、裏面も劣化し、裏返しの効果が薄れる
  • 裏返しのメリット
    • 費用を抑えながら畳を長持ちさせられる
    • 畳の下を掃除でき、カビ・ダニの予防につながる
    • 床板の状態を確認し、シロアリや湿気による劣化をチェックできる
  • 時期を定める理由
    • 長年使用すると裏側の色味も悪くなる
    • 長年使用すると耐久性が悪くなり、結果としてお金の無駄に
  • 当店の推奨時期
    • 新品のような青畳にしたい場合は、3~5年以内
    • コスパよく長く使いたい場合は、5~7年

畳の美しさと快適さを維持するために、適切なタイミングで裏返しを行い、和室の環境を整えましょう。畳の状態を定期的にチェックし、必要に応じてご近所の畳店に相談してください (^^)/


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